QRコード決済(スマホ決済)は2018年から普及し始めたキャッシュレス決済です。クレジットカードや電子マネー決済に比べると、後発の決済手段ですが、利用者は急激に拡大しています。
2023年のNIRA(総合研究開発機構)の調査によると、「できるだけQRコード決済(スマホ決済)で支払いたい」と回答した人が25%にのぼり、これは「現金で支払いたい」と回答した19%を上回っています。
(出典)NIRA総合研究開発機構(2023)「キャッシュレス決済実態調査2023(速報)」
QRコード決済(スマホ決済)の普及の背景には、大規模なポイント還元が挙げられますが、加盟店側の手数料負担が従来のキャッシュレス決済より少ないことも理由の一つです。
『PayPay』など、一部のQRコード決済(スマホ決済)では、期間限定で決済手数料を無料にすることで加盟店獲得を進めてきました。
この記事では、日本国内におけるQRコード決済(スマホ決済)の主要4社の決済手数料をテーマに、それぞれを比較・解説しています。
2023年12月現在:決済手数料が無料で使えるQRコード決済(スマホ決済)
QRコード決済(スマホ決済)の主要4社の中で、現在でも決済手数料が無料で使えるのは『d払い』のみです。以下は、各社の手数料無料期間と有料化後の手数料率についての詳細です。
決済サービス | 手数料無料期間 | 有料化後の手数料 |
---|---|---|
d払い | 2023年12月1日(金)~終了日未定 | 2.60% ※税込2.86% |
PayPay | 終了済み 2021年9月末まで | 1.60%または1.98% ※税込1.76または2.178% |
楽天ペイ | 終了済み 2022年12月末まで | 2.95% ※税込3.24% |
auPAY | 終了済み 2022年9月末まで | 2.60% ※税込2.86% |
上記の手数料率は、QRコード決済各社の公式サイトから直接申し込みを行い、発行される「専用QRコード」または「専用アプリ」を通じた決済時に適用されます。
『Airペイ(エアペイ)』等の決済代行サービスを経由して利用する場合は、各決済代行サービスが設定する手数料が適用されます。くわしくは『決済代行経由で導入するなら一番手数料が安いのはどこ?』にて解説します。
QRコード決済(スマホ決済)の手数料は契約先によって異なる
QRコード決済(スマホ決済)の導入は、以下のいずれかの方法で行われることが一般的です。
- 決済ブランドと直接契約して導入する
- 決済代行サービスを経由して導入する
決済ブランドと直接契約して導入する
クレジットカード決済や電子マネー決済では、コストや技術的な問題から決済代行サービスの利用が一般的です。
QRコード決済(スマホ決済)の場合、提供元が決済システムやアプリを提供し、加盟店と直接契約できるものも珍しくありません。
直接契約することで、加盟店は決済代行サービスを介さず、より安価な手数料でサービスを導入できることがあります。
決済代行サービスを経由して導入する
決済代行サービスを通じてQRコード決済(スマホ決済)を利用する場合、直接契約と比べて料率が高く設定されるケースが多いです。
しかし、決済代行サービスを利用すると、一つの決済端末で複数の決済手段に対応でき、入金サイクルや売上の追跡をより効率的に行うことができます。
QRコード決済(スマホ決済)の契約先の選び方
結論として、次のように契約先を選ぶことをおすすめします。
- 手数料を少しでも抑えたい方は直接契約
- 業務効率を優先したい方は決済代行サービス経由
とくにQRコード決済のシェアトップの『PayPay』は、直接契約時の手数料が低いです。
利用者が多いため、直接契約するメリットが大きく、他の決済手段については決済代行サービスを利用する形で、複数のサービスを併用している店舗も珍しくありません。
PayPayを決済手数料1.60%~導入!
【一目でわかる】QRコード決済(スマホ決済)の決済手数料 比較一覧表
サービス (直接契約) | PayPay | 楽天ペイ | d払い | auPAY |
---|---|---|---|---|
おすすめ度 | ||||
提供元 | PayPay 株式会社 | 楽天ペイメント 株式会社 | 株式会社メルペイ | KDDI株式会社 |
初期費用 | 無料 | 無料 ※カード・電子マネー決済導入時は19,800円~ | 無料 | 無料 |
決済手数料 | 1.76~2.178% ※税別1.60~1.98% | 3.24% | 2.86% ※税別2.60% | 2.86% ※税別2.60% |
入金手数料 | 無料 | 楽天銀行は無料 | 入金額1万円以上 は無料 | 無料 |
月額利用料 | 無料※月額プラン加入時は1980円(税別)/月 | 無料 | 無料 | 無料 |
決済手段 | 全9種 | 全24種 | 全2種 | 全3種 |
入金サイクル | 月1回 ※早期振込サービス利用で最短翌日 | 翌日入金 ※楽天銀行口座以外は翌営業日入金 | 月1回or月2回 ※入金額10,000円未満は繰越可 | 月1回or月2回 ※入金額10,000円未満は次回に繰越 |
導入までの目安 | 申込みから1週間~ | 申込みから3~4週間 | 申し込みから最短2営業日 | 約1週間から10日前後 |
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | |
PayPay | 楽天ペイ | d払い | auPAY |
QRコード決済(スマホ決済)主要4社の各種手数料を徹底解説
ここでは、QRコード決済(スマホ決済)各社の加盟店手数料について、個別に詳しく解説していきます。
結論として、直接契約して導入する際にメリットが大きいのは、『d払い』と『PayPay』の2社です。一方で、他のサービスについては、直接契約するメリットが限られており、決済代行サービスを経由してまとめて導入する方が効率的に運用できるでしょう。
PayPayの各種手数料
おすすめ度
4.5/5
導入費用 | 無料 |
---|---|
月額費用 | 無料プラン:無料 有料プラン: 1980円(税別)/月 |
決済手数料 | 無料プラン:2.178%(税別1.98%) 有料プラン:1.76%(税別1.60%) |
入金手数料 | 無料 |
『PayPay』は、QRコード決済(スマホ決済)のシェアトップを誇り、2022年の実店舗取引において67%のシェアを持つ主要な決済手段です。
2021年9月末まで決済手数料が無料で使えるキャンペーンを実施していましたが、現在は終了しています。現在では直接契約することで、決済手数料1.76%または2.178%(税別1.60%または1.98%)で『PayPay』に対応することが可能です。
決済代行サービスを経由する場合は約3%の手数料がかかるので、1%以上安く『PayPay』を利用できます。
決済手数料1.76%(税別1.60%)の適用条件は、有料プラン『PayPayマイストア ライトプラン(1980円/月)』への加入です。このプランは、手数料が安くなるだけでなく、PayPayユーザーに向けて広告出稿やクーポン発行ができるようになります。※ただし、広告費は別途必要です。
さらに、LINE PayやALIPAY系の外国人向けQRコード決済(スマホ決済)にも対応できます。インバウンド需要をターゲットにしているお店にもおすすめです。
PayPayを決済手数料1.60%~導入!
料金詳細
無料プラン | 初期費用 | 無料 | |
---|---|---|---|
決済手数料 | 2.178% ※税別1.98% | ||
月額サービス利用料 | 無料 | ||
有料プラン | 初期費用 | 無料 | |
決済手数料 | 1.76% ※税別1.60% | ||
月額サービス利用料 | 1,980円/月※税別 | ||
プラン共通 | 入金手数料 | 通常 | 無料 |
早期振込サービス利用時 | 振込先がPayPay銀行:入金額の0.38%+20円/1回※税別 その他の金融機関:入金額の0.38%+200円/1回※税別 | ||
解約金 | なし |
決済手段
決済手数料 1.76%or2.178% (税別1.60%or1.98%) | PayPay LINE PAY ALIPAY+詳細 |
---|
入金サイクル
通常入金 | 金融機関を問わず月1回 | |
早期振込サービス | PayPay銀行 | 翌日入金 |
その他の銀行 | 翌営業日入金 |
導入スピード
導入までの目安 | 申込みから1週間~ |
PayPayを決済手数料1.60%~導入!
楽天ペイの加盟店手数料
おすすめ度
4/5
導入費用 | 無料 ※カード・電子マネー決済に対応する場合は19,800円~ |
---|---|
月額費用 | 無料 |
決済手数料 | 3.24%(税別2.95%) |
入金手数料 | 楽天銀行は無料 |
『楽天ペイ』は、直接契約しても、決済代行サービスを利用しても、決済手数料に違いはありません。これは、『楽天ペイ』自体が決済代行サービスとしての側面を持つためです。
そのため、『楽天ペイ』では、カード決済や電子マネー決済にも対応可能です。ただし、これらの決済方法には決済端末が必要で、初期費用として19,800円がかかります。
正直なところ、『楽天ペイ』を直接契約する特別なメリットは限られています。なぜなら、他の決済代行サービスとの決済手数料に差はなく、対応できる決済手段の種類も比較的少ないからです。
加えて、『Airペイ(エアペイ)』のように、iPadやカードリーダーを無料で提供し、初期費用0円で導入できるサービスも存在します。
『楽天ペイ』の利点は、入金先が楽天銀行の場合、土日祝日でも売上が翌日入金される点です。これは他サービスに比べても入金サイクルが短く、資金繰りへの影響を最小限に抑えることができます。ただし、他行の場合は、管理画面から振込依頼を行う必要があり、1回あたり330円の入金手数料が掛かります。
『楽天ペイ』は楽天銀行の事業用口座を持っており、入金サイクルを特に重視する方に適したサービスです。
楽天銀行なら売上は翌日入金
料金詳細
初期費用 | 無料 ※カード・電子マネー決済に対応する場合は19,800円~ |
---|---|
決済手数料 | 3.24%(税別2.95%) |
月額サービス利用料 | 無料 |
入金手数料 | 楽天銀行は無料 その他は330円(税込)/1回 |
解約金 | なし |
決済手段
決済手数料 3.24%(税別2.95%) | 楽天PAY auPAY |
---|
入金サイクル
楽天銀行 | 翌日入金 |
その他 | 振込依頼後、翌営業日入金 |
導入スピード
導入までの目安 | 申込みから3~4週間 |
楽天銀行なら売上は翌日入金
d払いの加盟店手数料
おすすめ度
5/5
導入費用 | 無料 |
---|---|
月額費用 | 無料 |
決済手数料 | 2.86%(税別2.60%) |
入金手数料 | 入金額1万円以上は無料 |
『d払い』は、メルペイと業務提携しており、直接契約の加盟店手続きはメルペイが担当しています。そのため、『d払い』を直接契約すると、『d払い』と『メルペイ』の両方に対応する共通QRコードが発行されます。
加盟店負担の費用は、2.86%(税別2.60%)の決済手数料のみです。また、入金手数料は入金額が1万円未満の場合に1回あたり200円(税込)が掛かりますが、1万円を超えるまで繰越すことができます。
料金詳細
初期費用 | 無料 |
---|---|
決済手数料 | 2.86%(税別2.60%) |
月額サービス利用料 | 無料 |
入金手数料 | 入金額1万円以上は無料 ※1万円未満は200円(税込)/1回 ※入金額が1万未満の場合は繰越可 |
解約金 | なし |
決済手段
決済手数料 2.86%(税別2.60%) | d払い メルペイ |
---|
入金サイクル
入金サイクル | 月1回or月2回から選択式 |
導入スピード
導入までの目安 | 申し込みから最短2営業日 |
auPAYの加盟店手数料
おすすめ度
3/5
導入費用 | 無料 |
---|---|
月額費用 | 無料 |
決済手数料 | 2.86%(税別2.60%) |
入金手数料 | 無料 |
『auPAY』は直接契約することで、決済手数料2.86%(税別2.60%)で利用できます。2022年9月末まで決済手数料が無料で使えるキャンペーンを実施していましたが、現在は特別なキャンペーンは行っていません。
決済代行サービスと比べて、安価な手数料で導入できますが、QRコード決済(スマホ決済)の主要4社の中でシェアが低く、auユーザーに特化したサービスです。そのため、毎月の決済額があまり大きくならない可能性が高く、わざわざ直接契約して導入する必要性は少ないでしょう。
決済手数料の負担は少し増えますが、運用や管理の業務効率を考慮すると、決済代行サービスを経由して導入する方がおすすめです。
料金詳細
初期費用 | 無料 |
---|---|
決済手数料 | 2.86%(税別2.60%) |
月額サービス利用料 | 無料 |
入金手数料 | 無料 |
解約金 | なし |
決済手段
決済手数料 2.86%(税別2.60%) | auPAY |
---|---|
決済手数料 3.24%(税別2.95%) | ALIPAY WeChat Pay |
入金サイクル
入金サイクル | 月1回または月2回の選択式 |
導入スピード
導入までの目安 | 約1週間から10日前後 |
決済代行サービス経由で導入するなら一番手数料が安いのはどこ?
決済代行サービスを利用するメリットは、多様な決済手段を一元管理できることにあります。一つの契約でカード決済、電子マネー決済、QRコード決済、全てに対応でき、管理画面や決済処理、入金が一括されるため、運用が効率的です。
決済代行サービスにおけるQRコード決済(スマホ決済)の手数料相場は3.24%ですが、一部の決済手段だけ手数料が安いサービスや、税区分の取扱いによる違いがあります。
以下は、QRコード決済(スマホ決済)に対応できる決済代行サービス5社の手数料比較表です。
決済代行 サービス | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
初期費用 | 無料 | 端末なし:無料 端末あり:4980円~ | 無料 | 無料 | 無料 | |
決済手数料 | PayPay | 3.24% (税別2.95%) | 3.25% (税別2.95%) | 3.24% (税区分は非公開) | 2.00%~ (税区分は要問合せ) | 3.08% (税別2.80%) |
d払い | 3.24% (税別2.95%) | 非対応 | 3.24% (税区分は非公開) | 2.00%~ (税区分は要問合せ) | (税別2.95%) 3.24% | |
auPAY | 3.24% (税別2.95%) | 非対応 | 3.24% (税区分は非公開) | 2.00%~ (税区分は要問合せ) | 3.24% (税別2.95%) | |
楽天Pay | 3.24% (税別2.95%) | 非対応 | 3.24% (税区分は非公開) | 2.00%~ (税区分は要問合せ) | 3.24% (税別2.95%) | |
入金手数料 | 無料 | 無料 | 三井住友銀行は無料 その他は220円/回 | 無料 | 無料 | |
月額費用 | 無料 | 無料 | 3300円 (税別3,000円) | 3300円 (税別3,000円) | 2,178~3,300円 (税別1,980~3,000円) | |
解約金 | なし | なし | なし | 1年未満の解約時は、3300円×残月数 | 4年未満の解約時は、16500~66000円 | |
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | ||
Airペイ | Square | stera pack | スマレジ・PAYGATE | PayCAS |
上記の通り、手数料が最も低いのは『Airペイ』または『PayCAS』です。
『Airペイ』は、月額費用や契約期間の縛りがなく、導入のハードルが低いです。一方で、『PayCAS』はPayPayの決済手数料が他社よりやや低いですが、月額固定費と4年間の契約期間があり、柔軟性に欠ける点があります。
さらに、『Airペイ』は現在実施中の『キャッシュレス導入0円キャンペーン』にてでiPadとカードリーダーが無料です。
こうした要素を考慮すると、決済代行サービス経由でQRコード決済(スマホ決済)に対応するなら『Airペイ』がおすすめです。
今なら"iPadと決済端末"が無料
他のキャッシュレス決済と比べて、QRコード決済(スマホ決済)の手数料は高い?
カード決済や電子マネー決済の手数料相場は3.24%です。
これらの決済手段は、決済代行サービスを通じて導入することが一般的です。一部の決済代行サービスでは特定の決済ブランドのみ1~2%台で導入できるものもあります。
- stera pack …VISA、Mastercard2.70%(税区分は非公開)
- PayCAS…VISA、Mastercard2.80%(非課税)
- STORES 決済 (旧:Coiney)…交通系電子マネー1.98%(税別1.80%)
一方で、直接契約した場合に手数料が安くなるQRコード決済(スマホ決済)は、上記と比べても安価な手数料で導入できます。
つまり、QRコード決済(スマホ決済)は直接契約した場合には、他のキャッシュレス決済と比べて手数料が安いと言えます。
しかし、決済代行サービスを経由する場合には3.24%の手数料が適用されることがほとんどで、その場合は他のキャッシュレス決済手段と手数料が横並びになります。
【まとめ】手数料が一番安いのはPayPay!
以上、QRコード決済(スマホ決済)の主要4社の決済手数料について解説しました。
QRコード決済(スマホ決済)の手数料は契約先によって大きく異なりますが、闇雲に契約を進めると、レジ周りがQRコードで溢れかえり、運用や管理の手間が増えてしまう可能性があります。決済代行サービスと上手く併用し、使い分けることが重要です。
特に、利用者が多い『PayPay』は直接契約するメリットが大きいです。
一方、『楽天ペイ』や『d払い』『auPAY』は、直接契約するよりも決済代行サービスを経由して一元管理する方が、業務効率とのバランスを考慮するとおすすめです。
この記事が、あなたのお店に最適な決済サービス選びに役立てば幸いです。
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