リクルートが提供するモバイル決済端末『Airペイ(エアペイ)』では、これまで商品・サービスの引き渡しと同時または提供後の決済以外は加盟店規約で禁止しておりました。
しかし、2022年7月1日より事前決済・前払いでの利用が可能になりました。
この記事では、
- Airペイ(エアペイ)の定義する事前決済
- 事前決済を利用する上での条件
- 今回の加盟店規約変更による影響
上記について解説していきます。
Airペイ(エアペイ)の定義する事前決済とは?
事前決済や前払いなど表現は様々ですが、『Airペイ(エアペイ)』が定義する事前決済とは『商品提供前の決済』を指します。
具体的には、
- 自動車、家具、その他オーダーメイド製品で決済後に納品を行う場合
- 回数券、コース代金などのサービス提供が完了する前の決済
上述をAirペイ公式が具体例として挙げております。
ただし、事前決済の利用にはいくつか条件があるので注意が必要です。
Airペイ(エアペイ)事前決済の利用条件
- 特定商取引法における特定継続的役務提供に該当しない商品・サービスであること
- 決済を行ってから商品、サービスの提供が1年以内であること
- 契約内容にお客様からの中途解約を定めた規定があること
- 契約締結後、お客様に対して商品・サービスの提供が一切行われないときにキャンセルされた場合、取引代金相当額全額の取消しを行うこと
特定継続的役務提供とは?
数ヶ月にわたって対価を受け取り行う役務(=サービス)提供の中でも、特商法で規定されているものを指します。
具体的には、業種・期間・金額の3つを満たす以下を指します。
スクロールできます出典:特定商取引法ガイド(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/continuousservices/)
業種 期間 金額 いわゆるエステティック
人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと (いわゆる美容医療に該当するものを除く)1か月を超えるもの 5万円を超えるもの いわゆる美容医療
人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、体重を減じ、又は歯牙を漂白するための医学的処置、手術及びその他の治療を行うこと(美容を目的とするものであって、主務省令で定める方法によるものに限る)1か月を超えるもの 5万円を超えるもの いわゆる語学教室
語学の教授(入学試験に備えるため又は大学以外の学校における教育の補習のための学力の教授に該当するものを除く)2か月を超えるもの 5万円を超えるもの いわゆる家庭教師
学校(幼稚園及び小学校を除く)の入学試験に備えるため又は学校教育(幼稚園及び大学を除く)の補習のための学力の教授(いわゆる学習塾以外の場所において提供されるものに限る)2か月を超えるもの 5万円を超えるもの いわゆる学習塾
学校(幼稚園及び小学校を除く)の入学試験に備えるため又は学校教育の補習のための学校(幼稚園及び大学を除く)の児童、生徒又は学生を対象とした学力の教授(役務提供事業者の事業所その他の役務提供事業者が当該役務提供のために用意する場所において提供されるものに限る)2か月を超えるもの 5万円を超えるもの いわゆるパソコン教室
電子計算機又はワードプロセッサーの操作に関する知識又は技術の教授2か月を超えるもの 5万円を超えるもの いわゆる結婚相手紹介サービス
結婚を希望する者への異性の紹介2か月を超えるもの 5万円を超えるもの
『Airペイ(エアペイ)』では加盟店規約変更前から「特定継続的役務提供」に該当する取引の決済は禁止しております。
そもそも特商法に定められている業種・サービス提供は、消費者間とのトラブルが多いことからチャージバック(利用者からの支払い拒否)される取引が多くなります。
チャージバックの処理にはコストがかかるため、『Airペイ(エアペイ)』のような共通の手数料で端末を提供する決済サービスでは取引を禁止していることが多いです。
また、『Airペイ(エアペイ)』では、金額や期間が「特定継続的役務提供」に該当しない場合でも、エステや学習塾といった業種は審査が通りにくいです。
こうした場合は、決済サービス『Square(スクエア)』を利用すると良いでしょう。エステや学習塾でも金額や期間が「特定継続的役務提供」に該当しない場合であれば導入可能です。
2022年11月1日より、加盟店規約の改定により、事前決済・前払い決済に関する利用条件の緩和がありました。
以前は『JCB』『American Express』『Diners Club』『Discover』『QUICPay』で事前決済を行う場合、以下の条件がありました。
- 1回あたりの決済金額が50万円以下(税込)であること
- オーダーメイド製品等の事前決済の場合、決済を行ってから商品提供が3か月以内であること
現在、上記条件は撤廃されました。
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回数券の決済は加盟店規約上、禁止されている?
結論から言うと『Airペイ(エアペイ)』で回数券の決済を行うのは事前決済の利用条件を満たしていれば問題ないです。
『Airペイ(エアペイ)』の加盟店規約の第29条では取扱商品に関する規定が記載されております。
そこには取扱禁止商品として回数券の記載があります。
Airペイ加盟店は、第4条第1項第2号又は第7条の届出の有無にかかわらず、以下の商品等の取引を行ってはならない。
商品券・プリペイドカード・印紙・切手・回数券その他の有価証券、換金性のあるポイント、電子マネーのチャージ
Airペイ加盟店規約第29条 取扱商品等
一方、Airペイ加盟店向けのお知らせメール上には事前決済の商品・サービス例として「回数券」の記載があります。
つまり、回数券の決済を加盟店規約上では禁止しているけど、お知らせメール上では許可しており、矛盾しているわけです。
上記について、Airペイサポートに問い合わせたところ、以下の回答を頂きました。
10月31日にAirペイ加盟店へのお知らせメール「【Airペイ】商品、サービス提供前決済のご利用条件変更と加盟店規約改定のお知らせ」内にて、サービス提供前の決済の例として「回数券、コース代金、月会費等」と記載があります。
一方、Airペイ加盟店規約「第29条 取扱商品等」には取り扱い禁止商品として「回数券その他の有価証券」と記載がございます。
結局のところ、回数券の決済は可能でしょうか?
お問い合わせいただいた件につきまして、「第29条 取扱商品等2項の(6)にあるように」条件を満たす場合は、回数券のご利用が可能でございます。
「第29条 取扱商品等2項の(6)」というのは、当記事で解説した「Airペイ(エアペイ)事前決済の利用条件」を指します。
上述の通り、回数券の決済を『Airペイ(エアペイ)』で行うのは問題ありません。
AirペイQRでは事前決済・前払いは利用不可
『Airペイ(エアペイ)』と『AirペイQR』は厳密には異なるサービスです。
申し込みや審査はまとめて受けることができますが、加盟店規約が異なります。
今回の規約変更により事前決済・前払いが利用可能になったのは『Airペイ(エアペイ)』のみ、『AirペイQR』は現在でも禁止しております。
そのため、Airペイ(エアペイ)の審査は通過しても、QRコード決済のみ審査落ちしてしまう場合があります。
今回の加盟店規約変更による影響
今回の加盟店規約で事前決済が利用できるようになったことで、
- 過去に審査落ちした事業者でも導入できる可能性がある
- 既に導入している店舗では商品販売の幅が広がる
上述のような影響があります。
具体例として挙げた、決済後に納品を行っている事業者や、継続的にサービス提供を行う事業者などは、これまで事前決済が禁止されていたため、審査落ちした可能性が高いです。
こうした事業者は規約変更後の2022年7月1日以降に再申し込みすることで、審査に通る可能性が高いです。
また、既に導入している店舗では、単純に商品販売の幅が広がるでしょう。
例えば、飲食店ではこれまで飲食代の決済くらいしか使い道がありませんでしたが、クリスマスケーキやおせち料理など、予約販売の事前決済が可能になります。
オンライン決済や継続課金には非対応
事前決済が可能になった『Airペイ(エアペイ)
予約販売を行う上でオンライン決済ができると非常に便利なわけですが、こうした機能はありません。
また、『Airペイ(エアペイ)
この辺りの機能を使いたい場合には、決済サービス『Square(スクエア)
対面決済はもちろん、メールリンク決済やネットショップなど用途多彩なオンライン決済、継続課金機能まで利用可能です。
また、審査スピードが非常に早く、アカウント開設から最短当日から利用可能です。
Squareアカウントの開設は、面倒な書類提出が不要なため、興味がある方は以下からチェックしてみてください。
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