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特定継続的役務提供事業者がカード決済に対応する上での課題と解決策

キャッシュレス推進の流れで「クレジットカード決済を導入したいけど、審査に通らない」そんなお悩みをお持ち方も多いはずです。

審査落ちの細かい原因は、サービスの加盟店規約によりさまざまですが、「特定継続的役務提供」を行っている場合、クレジットカード決済の導入は非常に困難です。

この記事では、「特定継続的役務」とは何か、また該当するのはどういった事業者か、「特定継続的役務提供」事業者でも導入できるカード決済端末はあるのか、といった点をテーマに解説していいたいと思います。

目次

そもそも「特定継続的役務」とは?

そもそも「特定継続的役務」とは?

『特定継続的役務提供』とは「一定期間にわたって継続して提供されるサービス(=継続的役務)」の中でも特定商取引法の中で規定されている3つの基準(業種・期間・金額)を満たすものを指します。

特定商取引法とは…?

消費者保護を目的とした法律です。事業者と消費者との間でトラブルが生じやすい取引を行う際、事業者に対して規制を課すことで、消費者が不利な立場に立たされることのないようにすることです。

消費者にはクーリングオフが認められており、規制を違反した事業者には、行政指導や罰則が課せられることがあります。

『特定継続的役務』に規定されるサービスの特徴は以下の通り。

特定継続的役務にあたるサービスの特徴は「身体の美化(エステや美容医療)や知識・技能向上(語学教室や学習塾)を目的とするもの」「一定期間にわたって継続して提供されるもの」「効果が100%保証されているわけではないもの」

例えば、英会話教室に通うことで英語が上達する可能性がありますが、効果は個人差があるため、100%保証されているわけではありません。

なお、美容院やマッサージなど、1回で完結するサービスは「特定継続的役務」には含まれません。

「特定継続的役務提供」に該当する3つの基準(業種・期間・金額)

「特定継続的役務提供」に該当する3つの基準(業種・期間・金額)

「特定継続的役務提供」に該当する基準は「業種」「期間」「金額」の3つ。

業種ごとに期間と金額が定められており、全てを満たすものが「特定継続的役務提供」に該当します。

具体的には以下の通り。

スクロールできます
業種期間金額
いわゆるエステティック
人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと (いわゆる美容医療に該当するものを除く)
1か月を超えるもの5万円を超えるもの
いわゆる美容医療
人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、体重を減じ、又は歯牙を漂白するための医学的処置、手術及びその他の治療を行うこと(美容を目的とするものであって、主務省令で定める方法によるものに限る)
1か月を超えるもの5万円を超えるもの
いわゆる語学教室
語学の教授(入学試験に備えるため又は大学以外の学校における教育の補習のための学力の教授に該当するものを除く)
2か月を超えるもの5万円を超えるもの
いわゆる家庭教師
学校(幼稚園及び小学校を除く)の入学試験に備えるため又は学校教育(幼稚園及び大学を除く)の補習のための学力の教授(いわゆる学習塾以外の場所において提供されるものに限る)
2か月を超えるもの5万円を超えるもの
いわゆる学習塾
学校(幼稚園及び小学校を除く)の入学試験に備えるため又は学校教育の補習のための学校(幼稚園及び大学を除く)の児童、生徒又は学生を対象とした学力の教授(役務提供事業者の事業所その他の役務提供事業者が当該役務提供のために用意する場所において提供されるものに限る)
2か月を超えるもの5万円を超えるもの
いわゆるパソコン教室
電子計算機又はワードプロセッサーの操作に関する知識又は技術の教授
2か月を超えるもの5万円を超えるもの
いわゆる結婚相手紹介サービス
結婚を希望する者への異性の紹介
2か月を超えるもの5万円を超えるもの
出典:特定商取引法ガイド(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/continuousservices/

補足として、法律上における「超えるもの」は「以上」ではありません。

5万円を超えるもの=5万円を含まず5万円より多い金額=5万1円以上

ということになります。

つまり、

  • エステサロンの2か月コース50,000円⇒特定継続的役務に該当しない
  • エステサロンの2か月コース50,001円⇒特定継続的役務に該当する

といった形ですね。

『特定継続的役務提供』が規制対象になった理由は?

『特定継続的役務提供』に規定されるものは、効果が100%保証されているわけではありません。

また、消費者が解約する際には高額な違約金を支払わなければならず、解約が難しかったことから悪質な業者と消費者間のトラブルが多発しておりました。

『特定継続的役務提供』に規定されるものは、効果が100%保証されているわけではありません。

また、消費者が解約する際には高額な違約金を支払わなければならず、解約が難しかったことから悪質な業者と消費者間のトラブルが多発しておりました。
『特定継続的役務提供』のトラブル事例
  • エステの無料体験に行った際、強引な勧誘により高額な契約を強制された。
  • 塾や英会話教室の3年契約を結んだが、教師と相性が合わず、解約したいと思っている。
  • キャンペーン価格でパソコン教室に契約したが、やめたいと思っている。しかし、解約料が高額すぎるため、解約が難しい状況にある。
  • 2年間の英会話教室の契約を結んだが、教室が閉鎖され、契約内容に基づく返金が困難である。

こうした背景から以下のような規制が設けられました。

特定継続的役務に規定されたことで「クーリング・オフの適用対象となり、一定期間内であれば消費者側が一方的に解約ができるようになった」「クーリング・オフ期間を過ぎても中途解約できるようになった」「クーリング・オフ期間後の解約時に事業者が請求できる金額の上限を定めた」

これにより、消費者は自由に解約できるようになり、不当なトラブルから守られるようになりました。

「特定継続的役務提供」に該当すると罰則はある?法的な効力は?

「特定継続的役務提供」は違法行為ではありませんので、該当しただけでは罰則はありません。

特定継続的役務提供に該当した場合、事業者側は4つのルールを守る必要があります。

事業者側が守らなければならない4つのルール「契約後8日間はクーリング・オフに応じる義務がある」
「契約後8日過ぎても中途解約に応じる義務がある」「法律で定義された記載事項を網羅した概要書面、契約書面の作成が義務付けられる」「決算書の閲覧に応じる必要がある」

これらのルールを破った場合には罰則・制裁が科せられます。

ルールを守らない場合の罰則・制裁として「業務改善命令や営業停止命令、業務禁止命令などの行政指導」「刑罰の対象(罰金・懲役)」を科せられる

『特定継続的役務提供』事業者はカード決済の導入が難しい?その理由は?

『特定継続的役務提供』事業者はカード決済の導入が難しい?その理由は?

ではなぜ、『特定継続的役務提供事業者』はカード決済の導入が難しいのでしょうか?

理由は『特定継続的役務』はカード会社や決済代行会社側のリスクが高い取引方法とされるからです。

『特定継続的役務』によって消費者はクーリング・オフや中途解約が可能になったため、不当なトラブルから守られるようになりました。

一方、カード会社や決済代行会社はトラブル発生時にチャージバックに対応する必要が出てくるようになりました。

チャージバックとは…?

クレジットカード決済における信用取引において、消費者がその取引を不正なものやトラブルに巻き込まれたものと判断した場合、カード会社に対して返金を要求することをいいます。

チャージバックが発生するまでの流れ

カード会社や決済代行会社は代金未回収のリスクが発生するためチャージバックを嫌います。

また、チャージバック処理を行う上で発生する処理にもコストが掛かるため、トラブルの多いと思われる事業者と加盟店契約を避けたいわけです。

こうした背景から『特定継続的役務提供事業者』はカード決済の導入が難しいのです。

『特定継続的役務提供事業者』でも導入できる決済サービスはある?

『特定継続的役務提供事業者』でも導入できる決済サービスはある?

「それでは特定継続的役務提供事業者はキャッシュレス決済に対応できないのか?」というと、そんなことはありません。

前述した通り、「特定継続的役務提供」は違法行為ではありません。リスクが高いが故にカード会社や決済代行会社に避けられているだけです。

決済代行会社の中には『特定継続的役務提供事業者』を対象とした決済サービスを提供しているアルファノートのようなサービスも存在します。

【導入無料】特定継続的役務提供にも対応

また、QRコード決済PayPayでは『特定継続的役務提供』に規定される業種にも導入を進めております。

カード決済には対応できませんが、QRコードの設置のみで導入費用も掛からないので、キャッシュレス対応を少しでも進めたい『特定継続的役務提供事業者』におすすめです。

【導入無料】PayPayの加盟店申し込みはこちら

『特定継続的役務提供事業者』がカード決済を導入するリスクと注意点

『特定継続的役務提供事業者』がカード決済を導入するリスクと注意点

『特定継続的役務提供事業者』がカード決済に対応する上でのリスクと注意点は以下が挙げられます。

『特定継続的役務提供事業者』がカード決済に対応するリスクは、手数料が高いことと、チャージバック(返金)発生時には手数料分赤字になってしまうこと。

一つずつ詳しく解説していきます。

リスク1.手数料が高い

『特定継続的役務提供事業者』を対象とした決済サービスは、相場より決済手数料を高く設定しております。

以下は『アルファノート』の『特定継続的役務提供事業者』向けプランと他社サービスの比較表です。

サービス決済手数料

アルファノート
5.0%~5.7%
※特定継続的役務向けプラン
Square(スクエア)
Square(スクエア)
2.50%~3.25%
stera pack(ステラパック)
stera pack
1.98%~3.24%
PAYGATE
PAYGATE
2.00%~
Airペイ(エアペイ)
Airペイ(エアペイ)
0.99%~3.24%
楽天ペイ
楽天ペイ
2.95%~3.24%

決済手数料を開示している決済サービスの相場は約3%です。

対して、『アルファノート』の『特定継続的役務提供事業者』向けプランでは5.0~5.7%と2%以上高い料率が設定されます。

また、チャージバック(返金)発生時には1件辺り1100円のチャージバック手数料が発生します。

『特定継続的役務提供事業者』向けプランでは5.0~5.7%と2%以上高い料率が設定されます。また、チャージバック(返金)発生時には1件辺り1100円のチャージバック手数料が発生します。このように運用コストが一般的なカード決済に比べて高いことがわかります。

このように運用コストが一般的なカード決済に比べて高いことがわかります。

リスク2.チャージバック発生時には手数料分赤字になる

アルファノート』の『特定継続的役務提供事業者』向けプランではチャージバック(返金)発生時には1件辺り1100円のチャージバック手数料が発生します。

また、決済手数料は決済時に生じるものなので、チャージバックが発生した場合でも返金されることはありません。

例えば、10万円の決済を行い、チャージバックが発生した場合、以下の手数料負担が発生します。

決済手数料5,000円(5.0%×10万円)+チャージバック手数料1,100円=合計6,100円

現金払いであれば銀行振込で返金したとしても手数料負担は数百円程度の振込手数料で済みます。

カード決済の場合、ただでさえ高い手数料に加えて、いざチャージバックが発生してしまった場合の損失が非常に大きいことがわかります。

これらの点から『特定継続的役務提供事業者』は無理してカード決済に対応する必要はないと思います。

どうしてもキャッシュレス対応したいのであれば、『特定継続的役務提供事業者』でも1.60~1.98%の決済手数料で導入できる『PayPay』がおすすめです。

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『特定』ではない『継続的役務提供』事業者なら導入できる決済サービス

『特定』ではない『継続的役務提供』事業者なら導入できる決済サービス

繰り返しになりますが、「特定継続的役務提供」は該当する3つの基準(業種・期間・金額)を全て満たすことが条件です。

「特定継続的役務提供」に該当する3つの基準(業種・期間・金額)
スクロールできます
業種期間金額
いわゆるエステティック
人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと (いわゆる美容医療に該当するものを除く)
1か月を超えるもの5万円を超えるもの
いわゆる美容医療
人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、体重を減じ、又は歯牙を漂白するための医学的処置、手術及びその他の治療を行うこと(美容を目的とするものであって、主務省令で定める方法によるものに限る)
1か月を超えるもの5万円を超えるもの
いわゆる語学教室
語学の教授(入学試験に備えるため又は大学以外の学校における教育の補習のための学力の教授に該当するものを除く)
2か月を超えるもの5万円を超えるもの
いわゆる家庭教師
学校(幼稚園及び小学校を除く)の入学試験に備えるため又は学校教育(幼稚園及び大学を除く)の補習のための学力の教授(いわゆる学習塾以外の場所において提供されるものに限る)
2か月を超えるもの5万円を超えるもの
いわゆる学習塾
学校(幼稚園及び小学校を除く)の入学試験に備えるため又は学校教育の補習のための学校(幼稚園及び大学を除く)の児童、生徒又は学生を対象とした学力の教授(役務提供事業者の事業所その他の役務提供事業者が当該役務提供のために用意する場所において提供されるものに限る)
2か月を超えるもの5万円を超えるもの
いわゆるパソコン教室
電子計算機又はワードプロセッサーの操作に関する知識又は技術の教授
2か月を超えるもの5万円を超えるもの
いわゆる結婚相手紹介サービス
結婚を希望する者への異性の紹介
2か月を超えるもの5万円を超えるもの
出典:特定商取引法ガイド(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/continuousservices/

つまり、3つの基準(業種・期間・金額)がどれか一つでも当てはまらない場合は「特定継続的役務提供」ではなく、ただの「継続的役務提供」となるわけです。

「一定期間にわたって継続して提供されるサービス(=継続的役務)」そのものを禁止している決済サービスもありますが、「特定継続的役務提供」に比べると導入できる決済サービスの幅が広がります。

サービス継続的役務の可否特定継続的役務の可否

アルファノート
Square(スクエア)
Square(スクエア)
不可
STORES決済,ストアーズ決済
STORES 決済 (旧:Coiney)
不可不可
stera pack(ステラパック)
stera pack
不可不可
PAYGATE
PAYGATE
不可不可

Airペイ(エアペイ)
不可
楽天ペイ
楽天ペイ
不可不可

ただし、『 楽天ペイ 』は事前決済・前払いを禁止しているため、来店1回当たりの料金が明確でない場合は審査に通らない場合があります。

また、カード自動引き落としに対応できるのは『Square(スクエア)』のみです。

Square(スクエア)』はお客様からの承諾を得ることでカード情報を保存し、一定期間に一定額を自動引き落としすることができるので、とくにおすすめです。

【申込無料】審査結果がすぐわかる!

まとめ

まとめ

以上、『特定継続的役務提供事業者がカード決済の導入が難しい理由』について解説してみました。

様々な要因で普及が進むキャッシュレス決済への対応はBtoC事業において非常に重要です。お客様の利便性向上や売上アップのみならず、会計業務の効率化にも繋がります。

『特定継続的役務提供事業者』でも『アルファノート』のような専用プランを提供する決済サービスを利用すればカード決済に対応できますが、手数料が高く、返金時の赤字リスクが大きい点は非常にネックです。

あえて『特定継続的役務』に該当しないメニュー作りを行い、低リスクでキャッシュレス決済に対応していくというのも一つの経営戦略と言えるでしょう。

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