飲食店のメニューは、お店の業態や雰囲気、メニュー数によって様々です。メニューブックタイプからラミネート加工を施したペライチタイプ、使い捨てタイプの3つ折りタイプといった仕様も様々。また、それぞれのデザインもお店によって異なり、どういったメニューデザインが最適なのか、わからない方も多いのではないでしょうか。
私は、飲食店のウェブ集客のみならず、プロのデザイナーへの制作物の委託業務も請け負っており、過去に100店舗以上の飲食店のメニュー制作に携わってきました。
今回は、実際の経験を元に飲食店のメニューはどういうものが良いのか、それぞれのメリットやデメリット、料金相場等について説明していきます。
飲食店のメニューはめちゃくちゃ重要です
飲食店にとって、見やすいメニューを作ることは、お店の売上に直結する最も重要なツールの一つです。
来店したお客様は必ずメニューに目を通します。
仮に、油性マジックでA4用紙にメニュー名と価格が羅列されているだけのメニューを出されたら、「このお店大丈夫?」とお客様は不安な気持ちを頂いてしまいます。
飲食店は、食品を提供するビジネスですから、少しでもお客様に不安な感情を持たせることは許されません。
また、メニューから商品を想像出来ないなど、お客様に情報が伝わらないメニューは、単価が伸びず、お店の売上が上がらない要因の一つとなります。
特別な戦略がない場合は、しっかりお金をかけて、「お客様が見やすく」「情報が伝わる」メニューを作るようにしましょう。
飲食店のメニューを作る上で必要なこと
メニューをいざ作ろうと思った際に、具体的に何から動けば良いかわからない方もいるかと思います。
具体的な流れは以下の通り
- メニュータイプを決める
- サイズを決める
- デザイン・内容を決める
一般的な料理メニューを作る場合の流れは上述の通りです。
どんなメニュータイプがあるの?
飲食店のメニューを作る際に、ブックタイプのメニューを思い浮かべる方が多いのと思います。
実際にお店で提供するメニュー数や業態によって、タイプは様々です。
当記事では、以下の4タイプに分けて解説していきます。
- ブックタイプ
- ペライチタイプ
- 冊子タイプ
- 特殊タイプ
ブックタイプ
出典:メニューブックの達人
居酒屋やレストラン、カフェなどメニュー数の多い飲食店の多くで使用されている定番タイプです。
ブックタイプメニューの特徴
- グランドメニュー向き
- 情報量が多くわかりやすい
- 料理・ドリンクメニューを一冊にまとめることが出来るため、かさ張らない
ブックタイプはページ単位でメニューを自由に増やすことが出来ます。そのため、メニュー数の多い飲食店でも一品一品の写真や説明文を入れることが出来ます。
商品の他にも、食材の産地やこだわりといったお店の魅力といった情報も載せることが出来るため、来店したお客様に対してお店のストーリーをわかりやすく伝えることが出来ます。
また、ブックタイプの多くはフィルムに印刷したページを差し込むため、ポップやおすすめといった限定メニューを差し込むことが出来、メニューがかさ張りません。
ブックタイプメニューのデメリット
- 制作・修正コストが高い
- メニュー制作に時間が掛かる
- 気軽にメニュー変更出来ない
情報量が多いため、制作に伴うコストが他のメニュータイプに比べても高いです。
ブックタイプの制作に掛かるコストは以下の通り
ブックタイプメニューの制作費用
項目 | 料金 |
---|---|
デザイン代 | 1P辺り10,000円~20,000円 |
写真撮影代 | 30,000円~ |
印刷代(ネット印刷利用/10部の場合) | 1p辺り4000円~ |
メニューブック代 | 1冊辺り1000円~3000円 |
スタンド・追加ページなど | 1個辺り1000円~3000円 |
一冊8ページ、10部のメニューを作る場合、最低でも16万円~20万円程度の費用が掛かります。
基本的にデザイナーに委託することになるので、メニュー変更や写真差し替えを行いたい際に、デザイン修正コスト(ものによって3000円~)が掛かってきます。
また、情報量が多い分、写真撮影や料理説明分を始めとした構成をデザイナーとやり取りしないといけないため、時間コストも掛かってきます。
こういったデメリットは、メニューとしての性能が高い分、仕方ない部分ではあります。
個人店の場合、メニュー変更の度に修正・印刷コストや時間が掛かるため、気軽にメニュー変更を行わず、結果的にお客様に飽きられてしまうパターンもあります。
ブックタイプを作成する際は、年間を通して販売する王道系のメニューを基本とし、季節商品やおすすめは別ポップを作成する、1年を通してのメニュー変更スケジュールを組んでおくなどしておいた方が良いですね。
メニューブックの購入におすすめのお店
ブックカバーや備品の購入は通販の利用がおすすめです。
中でもメニューブックの達人は、業界最大手で、18000点もの商品ラインナップです。
ブックカバーからメニュースタンドを始め、卓上周りの備品を扱っており、価格もリーズナブルです。
商品一例
ペライチタイプ
出典:イタリアンバルパステル 京成大久保駅前店
バル業態や大衆系居酒屋でよく使われているのが、ペライチタイプのメニューです。
ペライチタイプメニューの特徴
- グランドメニューからポップメニューまで用途多彩
- コストが安い
- メニュー変更が行いやすい
1枚で完結するため、制作・印刷コストともに安く、個人飲食店に人気です。
また、ブックタイプに比べて、情報量が少ない分、時間コストも掛からないので、メニュー変更の際の修正変更も簡単です。
ペライチタイプメニューのデメリット
- 記載できる情報が限定される
- デザインによっては文字が小さく見辛い
- 消耗が早い
ペライチメニューは、大きくてもA3サイズ・両面印刷となるため、料理イメージとなる写真や説明といった情報の記載が限定されます。
一回り大きいA2サイズでの制作も可能ですが、印刷コストが高くなります。また、ラミネートを施す場合、PP加工と呼ばれる大判専用の加工が必要となり、コストが高いです。
メニュー数が多い飲食店の場合、文字が小さくなるため、高齢者の利用が多いお店では注意が必要です。
また、居酒屋やバルといったアルコールを扱う業態の場合、酔ったお客様に折り曲げられてしまったり、水濡れにより消耗が早いです。
ペライチメニューの制作費用
項目 | 料金 |
---|---|
デザイン代(両面A3の場合) | 15000円~30000円 |
写真撮影代 | 0円~ |
印刷代(A3サイズ/10部/両面カラーの場合) | 2400円 |
ラミネート費用 | 1枚辺り130円 |
スタンドなど備品 | 1個辺り1000円~3000円 |
ページ数が少ない分、デザイン・印刷コストと共に低価格です。また、ラミネート加工を行う場合は、ラミネーターを購入し、自店で行う場合は1枚辺り10円前後となります。
ラミネーターは安いものだと3000円程度なので、お店に1台購入しておくと何かと便利です。ただし、あまり安いものだとフィルムに空気が入りやすいのです。おすすめは以下のラミネーターです。
また、ラミネート加工をせずに、使い捨てメニューとして利用する場合は、印刷ロットを大きくすることで1枚辺りの印刷代が安くなります(ネット印刷を使った場合、1000枚で5000円ほど)。
二つ折り・三つ折りタイプ
出典:メニューブックの達人
ペライチタップに折り加工を加えた簡易冊子メニューです。
二つ折り・三つ折りタイプメニューの特徴
- ランチメニューやドリンクメニュー向き
- コストが安い
- メニュー変更が行いやすい
- ペライチタイプよりまとまりがある
ペライチタイプ同様に制作コストが安くです。
また、折りこむことでコンパクトになるため、ペライチタイプよりまとまりが生まれます。
デザイン面が小さくなるため、ランチメニューやドリンクメニューといった品数が限定されたメニュー向きです。
ちなみに、知人の居酒屋では、毎月メニューを入れ替えるため、A3サイズの3つ折りメニューを使用してます。
デザイナーにベースデザインを作ってもらい、店舗のパソコンでメニューを毎月打ち変え、印刷会社にまとめて印刷をかけております。
二つ折り・三つ折りタイプのデメリット
- 記載できる情報が限定される
- デザインによっては文字が小さく見辛い
- お店でラミネート加工が出来ない
- 消耗が早い
基本的にはペライチメニューと同じで、ブックタイプと比較するとページ数が限られてしまうため、写真や説明文など記載される情報が限定されます。
メニュー数や情報を詰め込みすぎると、文字が小さくなり、見辛くなってしまう点もペライチタイプと同様です。
ペライチメニューの場合は、お店でラミネートを行えますが、折り加工が必要です。これは印刷会社に委託しないと非常に時間が掛かりますし、空気が入ってしまいます。
ラミネート加工を行う場合は、その分コストが若干上がります。
また、ペライチメニュー同様、水濡れ等で消耗が早いです。
ちなみに、ページ数の少ないブックタイプもあるので、用途によってはこちらの方がおすすめです。
2ページ・4ページのブックだと以下のようなものがあります。
二つ折り・三つ折りタイプメニューの制作費用
項目 | 料金 |
---|---|
デザイン代(両面A3の場合) | 20000円~50000円 |
写真撮影代 | 0円~ |
印刷・折り加工・ラミネート代(A3サイズ/10部/両面カラーの場合/二つ折り) | 3900円 |
スタンドなど備品 | 1個辺り1000円~3000円 |
折り方やラミネート加工の有無によって、価格は異なりますが、ペライチメニュー同様に制作コストは安いです。
特殊タイプ
飲食店によっては、こだわりを見せるために特殊なメニューを使用している店舗もあります。
例えば、「巻き物」を使ったものや、「新聞」「雑誌」風のメニューなどが挙げられます。
こういった特殊なメニューを作る場合、デザイン費用は1面辺り10000円~30000円ほどです。特殊な印刷を行うものは、印刷コストが嵩みます。
お客様にインパクトや違いを明確にしたい場合、有効な戦略ではありますが、ある程度センスが問われます。仕様によっては見辛いため、注文数が減ってしまうこともあるので、注意が必要です。
サイズを決めよう
メニュータイプと併せて、サイズを決める必要があります。
出典:印刷の通販 グラフィック
メニューのサイズは大きいほど、文字を大きく出来たり、写真や説明文を入れることが出来ます。
大きければ良いかというどそうでもなく、印刷物はサイズが大きくなるほど、印刷代が掛かってきます。
A2以上の場合、ポスター印刷扱いになってしまったり、ラミネート加工が出来ないこともあるので、メニューとして使用する場合は大きい物でもA3サイズまでがおすすめです。
ちなみに、テーブルの大きさによっては、メニューが料理の下敷きになってしまうこともあるので、メニュースタンドは必ず設置した方が良いです。
デザインを決めよう
プロのデザイナーに制作を依頼する場合でも、どんなメニューを作りたいのか、参考イメージやラフが必要です。
全て丸投げで制作を請け負ってくれるデザイン会社やデザイナーもおりますが、依頼の時点で参考となるイメージを具体的に伝えた方が良いです。
理由としては、
- デザイン費用が高くなる
- 納品まで時間が掛かる
上述の二点です。
基本的にデザイナーに支払う報酬のほとんどは人件費です。丸投げで依頼し、イメージと違い、作り直してもらう場合、その分人件費が掛かります。
場合によっては、二重に制作費用を請求されてしまうなど、トラブルの原因になるので、参考となるイメージと構成を出来るだけ具体的に伝えるようにしましょう。
デザインイメージは「ピンタレスト」という画像共有サービスがおすすめです。
インターネット上の写真がピンボート風に集まるサイトで、メニューや看板といったデザインの参考イメージも豊富です。
ちなみに、空間デザインといったお店の内装イメージを探す際にも便利です。
コストを抑えたい場合は自分で作る
グランドメニューのようなお店の顔となるものは、基本的にはプロのデザイナーに依頼するべきです。
しかし、短期間しか使用しないポップ等にコストをかけたくない場合は、自分で作ってしまうのが一番安上がりです。
現在では、インターネット上で簡単に使えるメニューテンプレートを無料で公開しているサイトもあります。
出来る限りコストを抑えたい場合には、デザイナーに委託するべきものとそうでないべきものを使い分けましょう。
お店によっては、手書きメニューを使っている場合もありますが、基本的におすすめしないです。
オーナーが達筆で手書きメニューを作れるなら良いと思うのですが、特定のアルバイトに書いてもらっている場合、辞めてしまったとき困りますよね。
オーナー自ら出来ないのであれば、誰が作っても違いが出ない方法を取るべきです。
まとめ
今回は、3つのメニュータイプに分けて解説しました。
お店の業態やジャンル、雰囲気に加え、予算や用途に合わせたメニューを作ってみてください。
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