飲食店ではクレジットカードやQRコードなどキャッシュレス決済に導入すべきか、お悩みの方もいらっしゃると思います。
この記事では、実際にキャッシュレス決済に対応している飲食店2店舗の決済データをまとめてみました。
「利用率の高いキャッシュレス決済はどれなのか」
「キャッシュレス決済に対応すべきお店はどういったお店なのか」
など、過去1年間の決済データを基に解説していきます。
当記事で集計した飲食店について
この記事のデータは、知人の飲食店2店舗にご協力頂き、POSレジ及び、モバイル決済の管理画面からデータを収集しました。
店舗A | 店舗B | |
---|---|---|
業態 | 居酒屋 | 和食 |
席数 | 110席 | 50席 |
平均単価 | 4200円 | 4500円 |
営業時間帯 | ディナーのみ | ディナーのみ |
キャッシュレス 消費者還元事業 | 登録済み 10/1~ | 登録済み 10/1~ |
各店舗で導入しているキャッシュレス決済サービスは共に『Airペイ(エアペイ)』と『PayPay』。
- Airペイ(エアペイ)
- PayPay
-
POINT
- 初期費用0円!
- 決済手数料1.60%~PayPay決済に対応できる!
それぞれのお店が対応している決済ブランド
決済ブランド | 店舗A | 店舗B |
---|---|---|
Visa JCB AMEX DinersClub Discover | 〇 | 〇 |
iD QUICPay | × | 〇 |
交通系IC詳細 | 〇 | 〇 |
PayPay | 〇 | 〇 |
Alipay | 〇 | 〇 |
※PAYPAYとALIPAYは、両店舗ともに2019年10月から利用開始
キャッシュレス決済での売上は全体の約30%
今回、集計を行った2店舗で2018年12月1日~2019年11月30日の1年間の集計でキャッシュレス決済の売上比率は約30%でした。
店舗A | 店舗B | |
---|---|---|
決済件数 | 10024件 | 5466件 |
現金 | 74% | 68% |
キャッシュレス決済(現金以外) | 26% | 32% |
月ごとの比率でみると2019年10月から2店舗ともにキャッシュレス決済の比率が伸びていることがわかります。
店舗Bのおいては、2019年10月のキャッシュレス決済の比率が40%を超えております。
増税に伴い実施されている「キャッシュレス消費者還元事業」がキャッシュレス決済の利用を後押ししているようです。
利用比率の高いキャッシュレス決済は?決済方法別の割合
気になる利用割合の高いキャッシュレス決済はクレジットカードで、全体の90%以上を占めます。
決済方法別の比率は以下の通り。
※PayPay/ALIPAY導入が2019年10月からであるため、集計期間は2019年10月・11月の2か月間
決済ブランド | 店舗A | 店舗B |
---|---|---|
クレジットカード | 90.9% | 95.5% |
iD | – | 0.2% |
QUICPay | – | 0.6% |
交通系IC詳細 | 0% | 0.1% |
PayPay | 8.3% | 3.7% |
Alipay | 0.7% | 0% |
それではさらに細かくみていきましょう。
最も多く利用されるクレジットカードのブランドは?【ブランド別の利用比率】
利用頻度の高いクレジットカード決済はVISAです。
集計結果は以下の通り。
決済ブランド | 店舗A | 店舗B |
---|---|---|
Visa | 49.5% | 51% |
Mastercard | 15.2% | 16.8% |
JCB | 22.2% | 22.0% |
AMEX | 10.3% | 9.8% |
DinersClub | 1.0% | 0.4% |
Discover | 0% | 0% |
利用比率の約50%以上をVISAが占める結果となりました。
日本では知名度も低く、利用者も少ないDiners ClubとDiscoverはほとんど使用されておりませんでした。
上記の結果からクレジットカード決済に対応する場合、「VISA」「Mastercard」「JCB」「American Express」の4ブランドには対応しておくべきでしょう。
電子マネー決済の利用率は低い
交通系電子マネーやiD、QUICPayといった決済の利用率は年間を通しても数えられるほどでした。
※店舗AはiD、QUICPay未対応
今回の集計対象店舗は、2店舗ともに単価が4000円以上ということが大きな要因と考えれます。
ランチタイムやカフェといった単価1000円以下のような業態や利用シーンでは、電子マネー決済の利用率が変わってくるでしょう。
PayPayの利用率は好調!店舗Aでは約10%近い利用比率に!
キャッシュレス決済としては後発組の『
ほとんど使われることのない電子マネー決済と比較するとその利用率の高さが伺えます。
これは「100億円あげちゃうキャンペーン」を始めとしたキャンペーンを積極的に行っており、話題性に加えて「
QRコードの設置のみで導入できる『
ALIPAYの利用頻度は高くないが団体利用が多い
2店舗とも中国人観光客対して積極的な集客を行っているわけではないため、ALIPAYの利用頻度は決して高くありません。
そのため、データとしては不十分ですが、店舗AではALIPAY決済の1件辺りの金額が32747円と高額の傾向で団体利用が多いようです。
ALIPAYは、中国国内での利用率が高く、生活と切り離せない決済サービスです。
そのため、中国人観光客の利便性が向上することは間違いありません。
中国人観光客を集客したいお店は、店前にステッカーを掲示するなど積極的にALIPAYが使えることをアピールするだけでも効果的でしょう。
ALIPAYの導入は『
クレジットカード決済は現金に比べて高額である
今回、エクセルを使ってデータをまとめている中で、クレジットカード決済は現金に比べてお会計の金額が高額であることがわかりました。
店舗A | 店舗B | |
---|---|---|
現金での1件辺り 平均決済額 | ¥15063 | ¥15961 |
クレジットカード での1件辺り 平均決済額 | ¥15991 | ¥18462 |
繰り返しになりますが、店舗Aに比べて単価の高い店舗Bの方がクレジットカード決済の比率が高いことは前述した通り。
店舗A | 店舗B | |
---|---|---|
決済件数 | 10024件 | 5466件 |
現金 | 74% | 68% |
キャッシュレス決済(現金以外) | 26% | 32% |
このことからクレジットカード決済は、以下のような場合に利用されることが予想出来ます。
- 人数の多い宴会など団体利用時
- 単価の高いお店利用時
団体集客を促進したいお店や単価の高いお店は、クレジットカード決済を導入することで、集客促進に繋がる可能性が高いと言えます。
まとめ
- 決済サービスは多いがクレジットカードが9割を占める
- 電子マネー決済はディナータイム主体の飲食店では利用されない
- 『
PayPay』はクレジットカードに次いで利用率が高い
今回の集計ではまだまだデータが不十分ですが、ディナータイム営業がメインの飲食店においてのキャッシュレス決済の利用傾向の一つの参考になれば幸いです。
集計対象の2店舗は、他のQRコード決済への対応などキャッシュレス決済の強化を図っていくとのことです。
2020年6月までキャッシュレス消費者還元事業が実施されているため、2020年7月以降に実績データの集計を再び行うと思います。
当サイトでは店舗事業者に向けてキャッシュレス決済についての記事を執筆しておりますので、良ければ他の記事もご参照ください。
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