国内の大手グルメサイトのほとんどで利用可能となったネット予約機能。
最近では、飲食店の空席在庫を管理することでネット上で予約が完結する「即予約」が主流になってきました。
利用者にとっては、スマホ一台で飲食店の予約ができるのでめちゃくちゃ便利になったと感じている方も多いと思います。
しかし、飲食店にとってはメリットばかりではなく、予約バッティングトラブルといったリスクも挙げられます。
この記事では、飲食店にとってのネット予約のメリットとデメリット、ネット予約管理を効率化する方法を解説していきます。
飲食店にとってのネット予約のメリット
ネット予約利用における飲食店のメリットについて解説していきます。
飲食店のメリットは「オペレーションの改善」「費用対効果」「集客強化」に関連することです。
- 電話対応業務の削減
- 予約の取りこぼしを防止
- 費用対効果の明確化
- グルメサイト内での優先表示
- ポイントサービスによる予約促進
- アフィリエイト広告によるWEBメディアでの紹介
電話対応業務の削減
ネット予約を利用することで、予約の電話対応を減らすことができます。
通話1件辺りに取られる時間は飲食店によりますが、私が保守・管理を行っている飲食店のホームページ上からの問い合わせ通話データから平均を出してみました。
通話件数 | 合計通話時間 | 1件辺りの通話時間 |
---|---|---|
427件 | 4万1209秒 | 約96.5秒 |
※通話時間の計測は、トラッキング専用ダイヤルで計測
過去2か月の通話件数での平均なのであくまで参考程度ですが、1回当たりの平均通話時間は「約1分30秒」です。
ネット予約を積極的に開放している飲食店のデータなので、ネット予約受付をしていない飲食店であれば、平均通話時間はもっと長くなるでしょう。
ネット予約の利用は「電話予約」「予約情報の変更」「キャンセル」などの電話対応が減ることで、「営業へ集中できる」だけでなく、「人件費削減」へと繋がります。
予約の取りこぼしを防止
営業中は忙しく、電話対応が難しいことも多々あります。
ネット予約を利用することで、お客さんの予約方法の選択肢が増えます。
そのため、電話が繋がらない場合でも、ネットから予約が出来るため、予約取りこぼし防止に繋がります。
費用対効果の明確化
電話の場合、「予約に関する問い合わせ」なのか、「予約以外の問い合わせ」なのかわかりません。
立地が悪い飲食店であれば道案内の電話も多くなるでしょうし、予約キャンセルや人数変更といった電話も少なくありません。
正直、架電数から売上予測を立てるのって、飲食店によって結構変わるので費用対効果の測定が難しいです。
ネット予約経由で予約した場合、「予約人数」「利用プラン」から予約ごとの売上を把握することが出来ます。
グルメサイトへの掲載料は決して安くないので、より正確な費用対効果を可視化できるという点もネット予約の大きなメリットです。
グルメサイト内での優先表示
多くの場合、グルメサイトではネット予約ができる飲食店を優先的に検索一覧ページへ表示させます。
ネット予約を受け付けている飲食店は、空き状況をユーザーが把握しやすいため、サイトの利便性が上がるためです。
また、日時指定検索は、ネット予約の空席情報を元に指定した「日時」「人数」でネット予約できる飲食店のみが表示されます。
以下の画像は食べログでの検索ですが、他のグルメサイトも同様です。
日時指定検索を行うユーザーは食事や飲み会の予定が決まっており、今から飲食店を予約する可能性が非常に高いです。
こういったユーザーに対して、飲食店の情報が表示できるかできないか、集客に大きく影響することは一目瞭然です。
グルメサイトでの集客を増やしたい場合には、ネット予約の受付設定を緩和するだけでも予約増加に繋がりやすいわけです。
ポイントサービスによる予約促進
多くのグルメサイトでは、ネット予約で飲食店を予約し、来店するとポイントが貯まります。
「1名辺り〇〇ポイント」と人数に応じたポイントが貯まるため、大人数での予約件数も結構多いです。
また、お会計時に「ポイントが使える飲食店」として掲載することで、各グルメサイト会員の集客促進に繋がります。
ポイントサービスを導入しているグルメサイトは「ポイントが貯まる飲食店」「ポイントが使える飲食店」といった絞り込み検索機能や特集ページを設けているので、集客にも影響します。
また、一部のグルメサイトでは「ポイントが使える飲食店」として掲載することで検索一覧ページでの掲載順位が上がります。
こうしたポイントサービスの提供により、年々ネット予約利用者も増えており、グルメサイトからの集客を増やす上でネット予約は欠かせないものとなっております。
アフィリエイト広告によるWEBメディアでの紹介
ネット予約のメリットとして、グルメサイトの営業担当でも説明する人はあまりいませんが、結構重要です。
アフィリエイト広告とは「成果報酬型のインターネット広告」です。
例えば、あるブロガーがあなたの飲食店に来店し、口コミやレビューなど紹介記事を書いたとします。
その記事内に「ホットペッパーグルメ」の店舗ページリンクを設置し、読者がそのリンク経由からネット予約をするとブロガーへ紹介料が支払われるという仕組みです。
アクセス数の多いブログ・メディアで紹介を受けることで爆発的に集客が伸びることがあります。
記事の最後の店舗情報は「食べログの店舗ページ」へリンクしており、ネット予約・来店まですると私に広告報酬が入るといった流れです。
近年、グーグル上では「新宿の居酒屋〇選」のようなまとめ型のコンテンツが上位表示されており、こういったサイトはアフィリエイト広告が主な収入源です。
もちろん、グルメサイトに掲載していない飲食店・ネット予約受付を行っていない飲食店でも紹介されますが、ウェブメディアの収入源は主に広告です。
アフィリエイト広告で報酬が発生する条件は、多くの場合「有料掲載店舗」かつ「ネット予約経由でポイントが貯まる飲食店」をネット予約し来店することです。
そのため、メディア運営者はなるべく紹介することで報酬が入る飲食店を紹介したいわけです。
「グルメサイトに有料掲載し、ネット予約を積極的に利用する」=「ウェブメディア・ブログ上で紹介されやすくなる」というメリットがあります。
アフィリエイト広告を出稿しているグルメサイト一例
アフィリエイト広告を出稿しているグルメサイトは、以下のようなものが挙げられます。
グルメサイトのアフィリエイト案件は、バリューコマースというASPが扱っているので、詳しい情報を知りたい方は会員登録してみてください。
登録無料
飲食店にとってのネット予約のデメリット
多くのメリットがある反面、飲食店にとってのデメリットもあります。
- ネット予約手数料がかかる
- 予約バッティングによるトラブル
- 予約の仮押さえ・無断キャンセル
掲載料とは別にネット予約手数料がかかる
飲食店の不満の声として挙げられることが多いのはネット予約手数料です。
例として5つのグルメサイトのネット予約手数料は以下の通り。
ランチ | ディナー | |
---|---|---|
ぐるなび | 1名/50円 | 1名/200円 |
ホットペッパー | 1名/10円 | 1名/50円 |
食べログ | 1名/100円 | 1名/200円 |
レッティ | 無料 | 無料 |
ヒトサラ | 無料 | 1名/200円 |
唯一、ネット予約手数料が掛からないのは「レッティ」。
他のグルメサイトでは「ネット予約人数×10円~200円」の手数料が発生します。
何が不満なのかというと、ネット予約手数料とは別に掲載費用を支払っているからです。
※「一休.com」「Ozmali」「るるぶダイニング」等、ネット予約手数料のみで掲載費無料のグルメサイトもあります。
グルメサイトによっては、20万円近く掲載費用を支払っているので「まだお金を取るのか!」「グルメサイトに少しずつ利益を取られる」といった不満の声が多いわけですね。
なぜ、ネット予約手数料が掲載費とは別に掛かるかというと「ポイントサービスの提供」「アフィリエイト広告の出稿」の二点が大きいでしょう。
※詳しくは以下の記事もご参照ください。
加えて、ネット予約を利用しないとグルメサイト内での優先表示されにくいため、集客に大きく影響するわけです。
半強制的にネット予約を使わせるような仕組みと捉えられても仕方ありません。
とはいえ、グルメサイトは利用者の利便性向上を目的としており、ネット予約の促進によって全体の集客数が伸びることも事実です。
そもそも集客に困っているからグルメサイトへお金を払って掲載しているわけですから、嫌なのであれば、グルメサイト以外での集客を見出すしかありません。
グルメサイトに依存しすぎてしまうと「掲載費用を値上げされてもやるしかない」状況、つまりはグルメサイトにお店の命運を握られてしまうので、将来的にはグルメサイトに頼らず集客できる仕組み作りが大切です。
予約のバッティングによるトラブル
ネット上で予約申し込みが出来る即予約は、在庫管理を怠ってしまうと予約のバッティングといったトラブルに繋がります。
掲載しているグルメサイトが少ない場合には、管理はさほど大変ではないのですが、複数のグルメサイトへ掲載している飲食店も少なくありません。
複数のグルメサイトを利用している場合、それぞれグルメサイトの管理画面から予約在庫を変更する必要があります。
そのため、在庫管理漏れがあると予約が埋まっている席に別のお客様が予約するといった事態が起きてしまいます。
また、当日の即予約受付をしている場合、フリー客といった予約なしでのお客様もおり、バッティングリスクが非常に高くなります。
予約の仮押さえ・無断キャンセル
即予約はネット上で予約が完結するため、利便性が非常に高い反面、利用予定が確定していない段階での仮押さえも出来てしまいます。
そのため、無断キャンセルや複数のお店を抑える悪質な使い方も出来てしまうわけです。
当日の無断キャンセルは、見込んでいた売上が無くなるだけでなく、食材のロスに繋がるため、飲食店にとっての打撃が非常に大きいです。
こういったトラブル防止のためにグルメサイトでは以下のような取り込みが行われております。
- 同じ時間帯での複数店舗への予約は不可
- 無断キャンセルが多い会員へのサービス停止
しかし、複数のグルメサイトを利用すれば、同じ時間帯に複数の飲食店の予約が出来てしまう点はグルメサイト側では対処しようがありません。
そこで、予約の仮押さえ・無断キャンセルなどのトラブル防止のために飲食店で出来る対策を以下の記事にまとめたので、よければ参考にしてみてください。
まとめ
この記事を読んで、ネット予約のメリットとデメリットを比較した上で運用の参考にして頂ければ幸いです。
ネット予約は、グルメサイトでの集客促進する上では、利用が欠かせないものとなっております。
グルメサイトのサービス提供について、文句を言っても何も変わらないので、しっかりとネット予約を理解し、有効的に活用できるように努めましょう。
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